日本の狩猟の未来を考えてみた

2017-10-23
台風の雨に降り込められている今週末、2週続けての雨の週末になってしまいました。

予定していた新しい猟場の下見に行けなくなっちゃったのは残念だけれど、ちょっとゆっくりできる時間をもらった、と思って思慮深い時間を過ごそうと思うんだな。

ここのところずっと週末ごとに呑んだくれていたんで、考えてみれば久しぶりのゆったりした予定のないお休みタイムなんだよね。


・・・時間がたっぷりあるので 少し前に頂いた、ちょっと考えさせられたコメントにとらなりのお答えを考えてみたんだな。

このブログはおかげさまでたくさんの方の目に留まっていただいているみたいで中にはどうコメント返していいのか判らないものもあるんだけれど、
読者の多くの方は自然環境と野生動物、人との関係に狩猟も絡ませて 「どうあるべきか?」 を思慮深く考えている方も多くて
とらも勉強させてもらうことがとても多い。

今回はコメントの返答にとらが考える日本の狩猟の行く末について独断と偏見に少し希望も交えてお答えしてみよう!







『こんにちは、
以前は狩猟免許を取得し「いざ山へ」と思っていました。
しかし、猟友会の方々と毎週会って雑談を交えているうちに、標的射撃だけにしようと考えました。
こちら長野県ですが、猿の駆除でやはり銃を向けると手を合わせ拝む猿がいたそうです。
猟友会の方も猿は撃ちたくないと言っていました。
昔は生活のために猟をしていたけれど、現在は駆除対象が多いように感じます。
生態系を崩したのは人間です、保護をしておいて増えすぎたから殺処分というのはやりきれないです。
昔のように必要なぶんだけ獲り自然は壊さないといった環境には戻れないものかと、、、考えます。
とらさん、頂いた命です、おいしく食べてあげてください。
私もシカ、イノシシ、クマの肉をおいしく頂きました、恵みに感謝です。 moon   』


moonさま ご意見ありがとうございます!
仰るとおり、肉が手軽に手に入らなかった昔は狩猟が希少な肉を手に入れる大事な手段だったと思いますし、毛皮や肉を売ることで生活の糧を手にしていた「生きるための猟師」も存在していたのだと思います。

今はどこのお店に行っても柔らかくて美味しくていつも味が安定した家畜のお肉が気軽に手に入りますので毛皮や肉を売って生計をたてる 「生きるための猟師」 はほぼ、存在しません。  …なら、狩猟は必要なさそうに感じてしまいます。

ただ、今の日本は一部の野生動物が増えすぎてヒトとの軋轢(交通事故、ハイキング・農作業中の遭遇、農作物の食害 他)を
引き起こし始めています。

なぜ、そのような一部の野性動物が増えすぎてしまう時代になったのでしょうか。

それにはハンター人口の減少、地球温暖化、オオカミの絶滅、野生動物の棲息範囲の減少による人里へのはみ出し・・・様々な要因が指摘されていますが、私は日本全体の人口減少、少子高齢化の影響がなにより一番大きいと考えています。

かなりざっくりした表現ですが、第二次世界大戦前の日本は国内では人口を養えない為、国外に国民を「移民」させていました。

それが第二次世界大戦後、敗戦によって海外にでていた日本人が戻ってきました。この方たちを受け入れるために多くの開拓村が全国の中山間地、山あいに切り開かれました。
人口が増え、食料増産のため、野山が切り開かれ野生動物は棲息地を追われました。さらにたんぱく質不足を補なうため、狩られて数を減らしました。  その結果、野生動物の減少、その保護が進みました。

それから半世紀以上を経て、今の日本は人口減少化の時代に転じました。

都会にいる分にはなかなか人口の高齢化や減少化を実感できませんが、山あいの村、戦後の開拓村にいくとそこここで空き家が目立ち耕作されなくなった田畑が藪と化している状態が目に付きます。   「限界集落」という言葉も生まれました。

00廃屋
少し山あいの村に入ると各所で見られる廃屋。人口減少の象徴ですが最近では都市部でも珍しくなくなった??

山野にどんどん、勢いよく毛細血管が張り巡らされていった時代が終って、先端から萎縮、壊死が起こってじわじわとヒトの撤退が始まっているイメージです。
今の時代は、ヒトの勢いが弱まったため、それまで数を減らしてきた野生動物たちの勢いが転じて増してきた、という最近100年間では経験してなかった時代になったのだと思います。


02耕作放棄
耕作放棄地 野生動物にとって理想的な餌場であり隠れ場所 

うっそうとした原生林「極相」ではエサになる動植物も少なく、大型獣が生息しにくい環境です。
ヒトが手を入れて、そして放置した畑は「かく乱地」。 日当たりも良く青草やミミズ、のねずみなど生態系も豊かでエサが豊富。  
さらに近くにはヒトが耕している畑があって容易に食べ物が手に入る、野生動物にとってはまさに理想の棲み処が全国的に拡がっています。

藪化した耕作放棄地の出現で野生動物たちは身を隠せる安全な場所をヒトの住む集落のすぐ近くに手に入れる事ができました。
夜な夜な出没する畑には栄養豊富で難なく手に入る美味しいエサがいっぱいです。
笹の根っこをほじって食べるより、畑いっぱいに植わっているキャベツや白菜、芋を食べたほうが柔らかくて美味しくて食べやすい、すぐに満腹になれることを野生動物たちはすぐに学習して「新しい餌場」と認識してしまったはずです。 そしてもうその場所を動かない。

この、人里の耕作放棄地を棲み処にした野生動物の増加が昨今の鳥獣被害の大きな要因と私は考えます。


これからの時代はヒトの生息環境や自然を維持するため、増え過ぎた動物だけを選択的に捕獲する狩猟者が必要になるのではないかと思います。 そこを故郷に持つ方には残酷な話ですが、地域によっては 「集落丸ごとのヒトの撤退」 もあり、です。

これまで猟期だけ、週末だけ楽しみの為に狩りを行う 「趣味の狩猟」 を行っていたハンターが、ヒトとの軋轢を減らす為、農地を守る為、自然環境を保全する為に有害駆除に駆り出されているのが今の日本の狩猟界の現状です。

moonさんが違和感を覚えた 「現在は駆除が多い」 は、本来は自分のペースで行えば良かった「狩猟」が
社会的な必要性、要望に応えるために狩猟者が希望する以上に義務的に獲物を狩らなくてはいけない状況に陥っているからではないかと考えるのです。

日本にはまだ「頭数管理」など仕事として野生動物の捕獲を行う職業が存在していません。
いきおい、狩猟を行っている 狩猟者、ハンターと呼ばれる方々が有害鳥獣捕獲を担ってるのですが、狩猟と有害捕獲は本来
別物です。

海外には「カーラー」 カウリング(捕獲)する者 という専業狩猟者が仕事として野生動物の頭数調整を行っています。 日本もその様な職業狩猟者が必要な時代が到来したのかもしれません。 

私はこれからの日本には 趣味で狩猟を行う「ハンター」 とは別に 職業として頭数調整の任務を担って野生動物の捕獲を行う 「専業狩猟者=カーラー」が誕生する時代が来ると考えるのです。

今はちょうど趣味ハンターと専業狩猟者の台頭がはじまったばかりの混沌状態。 今後は棲み分けがなされていくことでしょう。

食べるコトについて:
専業狩猟者は捕獲して頭数を減らす事が本来の目的ですが、それによって得られた野生肉はやはり大事に活用するべきだと考えます。
私は「家畜」は大変に気の毒な生き物と考えます。 殺され、食べられるだけにこの世に生を受けてきた動物、運命は100%食べられる為の「死」だけなんですよね。
それに比べて野生動物は「狩猟者に狙われたその日その山で一番ツイていない不運なヤツだけが狩られている」 状況。
他の99%以上のイノシシ、シカ連中はさっさと逃げおおせて日々の生活を続けて営めている状態だと思うのです。

ただ殺されて食べられる為だけに生を受ける家畜はもう少し減っても良いのではないでしょうか?

さらに家畜は大きな「環境破壊」も引き起こしてしまいます。
「牧場」は地球ができてからずっと「牧場」だったわけではなく、森林や湿地帯など自然豊かな原野を切り開いて牧草という単体の植物だけを生やしている生物相の非常に貧相な状態にされているわけです。
さらに、トウモロコシ10kgを牛に食べさせてやっと1kgの牛肉を得られる、という効率の悪さ。
肉を食べるより、トウモロコシ10kgそのままを食べたほうがより多くの人口を養えるのですが肉の美味しさを知ってしまったら穀物だけの食事には戻れません。

原生林を切り開いて畑を作り、灌漑用水を引っ張ってきて河を細らせ、農薬を撒いて飼料用作物を育て、さらにそれを家畜に食べさせて10倍以上に濃縮したのが牛肉であり、豚や鶏なわけですから 「自然環境の破壊」 という面から見ても甚大です。

さらに日本は飼料用作物のほぼ100%近くを海外に依存しているので輸入に必要な貨物船の燃料など化石燃料も必要です。
非常に資源のロスが大きい。
海外の家畜飼料に依存している日本では、日本国内で家畜を育てるよりも、海外で酪農を行い、屠殺、解体、脱骨をした肉状態にして日本に輸入したほうがエネルギー効率的にはずっと優れているのです。

それに比べて野生動物捕獲に必要なエネルギーは山に入るための軽トラックのガソリン代と弾丸を発射するための僅かな火薬のエネルギーだけです。
少し前の時代では獲物を得る為に山奥まで分け入る必要がありましたが、今の時代は獲物になる野生動物の方から人里にやってきている状況。

この食資源を利用しないでおくわけがありません。


・・・しかし現状、有害駆除等で捕獲された野生動物の肉が有効活用されているわけではけっしてなく、一説によると9割が廃棄されているらしい・・・
もったいない話なんだけれどそれが実情。 でも、それって逆に考えると、これからの延びしろが9倍残っているって考えられると思うのです。

事実、狩猟で身を立てよう!という若い狩猟者が捕獲と食肉利用の両軸で狩猟ビジネスを考えている事と、以前よりずっと野生肉に対する拒否感が世間からなくなっている事をとらも実感しているので伸びしろはまだまだあると思うのです。

狩猟の6次産業化を考える方もいてますます展開が楽しい時代になっていくようです。

趣味のハンターさんはそのまま趣味を継続していって構わないと思います。

それ以外に仕事として狩猟行為を請け負う専業者が今後は台頭していって環境保全の任務を担い、さらに食を豊かにしてくれる時代が来るといいな、思うのです。

moonさんからいただいたコメントへの回答になったかな?


☆お知らせ

今年も狩猟体験イベントを行います! 
「狩猟に少しだけ触れてみたい」 「体験をしてから猟銃を持つか考えたい。」という初心者の方対象の企画ですのでお気軽に参加ください。
今年は定番の伊勢原会場に加えて、福島県いわき市、宮城県仙台市郊外でも開催します


先ずはグッドハンティング ホームページで企画内容と開催場所、開催予定日をご確認ください!

こちらをチェック!!⇒グッドハンティング 狩猟体験
tag :
コメント:












管理者にだけ表示を許可する
トラックバック:
トラックバック URL:

http://torasanbluesky.blog.fc2.com/tb.php/479-85b74f86

<< topページへこのページの先頭へ >>