サル肉食について考えた
2017-09-03
「サル肉食」 と聞くと皆さまはどんな想像をするでしょうか??ヒトに一番近い動物ですからなかなか 「おっ!いいねぇ 私も食べてみたい。」と思う方は少ないんじゃないかな??
「共食い」 「一線を越えた食」 「ゲテモノ」などなど・・・ あまり良い印象は持てないかもしれない・・・
とらは 「捕獲した野生動物は基本的に食べて『喰い供養』したい」という気持ちがあるのでとりあえず、手元に流れ着いた動物はひと通り味見をするスタンスで臨んでいるんだけど、ニホンザルは狩猟対象種ではないから、手元に流れ着く事は考えられなかった。
でも、最近、増えすぎたニホンザルが深刻な農業被害を引き起こすようになって 「有害駆除」 として捕獲されるようになってきたんだ・・・。
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昨年、とらは秋田の阿仁に出かけたんだ。 阿仁はいわずと知れた マタギの里。
とらたち狩猟を行う者にとってリスペクトすべき文化と伝統を持った狩猟業界の「聖地」だ。 旅の記録はこちら!⇒夏休みなのだ!Ⅲ
とらは狩猟者の端くれとして聖地巡礼、一度はこの土地を訪れてみたかったんだ。 「阿仁マタギ資料館」にも行ったんだけど申し訳ないが「過去の記録」が多くて今現在の阿仁マタギの状況などは伝わってこない事が残念だったな。
そんな展示物の中でとらの目を一番引いたのは
『以前のマタギの主な獲物はニホンカモシカとニホンザル。 この二種がその後狩猟禁止となったため、ツキノワグマ猟がマタギを代表する猟になった。』 という内容の説明だ。
そう、多くの皆さんに大変意外なことかもしれないんですが、昔の日本人はどうやらサルを食材として見ていたらしい・・・
それもどうやら「薬喰い」も含めた高級食材としての様なんだ!
日本が誇る、希代の芸術家、北大路魯山人、 篆刻家・画家・陶芸家・書道家・漆芸家・料理家・美食家などの様々な顔を持ったまるで 「美味んぼ」にでてくる海原雄山のような人物もおサルさんを召し上がっていたようなのでございます!
⇒北大路魯山人・「猪の味」 ⇐ こちらにサル食についての記述アリ。
ふ~ん、サルは食べて美味しいんだ! 機会があったら一度味わってみたいなぁ!でもヒトに似ているから撃ちたくないし、その前に狩猟対象獣じゃないから撃つ事もできないなぁ・・・ などと思っていたんだよね。
最近のとらは殊、狩猟、野生動物の事になると想いが叶う傾向にあって、「サル肉手に入らないかな~」と考えていたら有害駆除されたサル肉を解体処理して送ってくれる方が現れた!
とらはさっそくお願いしたね! そして謝礼を受け取ってもらったよ。
ヒトに似るサルの解体は精神的な苦痛も伴うだろう・・・ それに報いる「お礼」が必要なお肉だととらは考えたんだな。
サルにまつわる狩猟エピソードは多いんだな。
曰く、撃とうと狙ったら猟師に向かって「撃たないでくれろ。」と両手を合わせて拝まれた。
曰く、撃ち取ったサルを回収にいったら死体が見つからない。 きっと仲間が遺体を持っていったに違いない・・・
曰く、仲間を討ち取られたサルが夜中猟師の家に集まってきてひと晩大騒ぎをしていった・・・
曰く、箱わなに掛かった親子サル。 止めを刺そうと近づいたら、母ザルが身を挺して子ザルを庇った・・・。「ダメだっ!俺には撃てねぇ。俺にもそっくりな赤ん坊がいるんだ!」若い猟師はどうしてもその親子ザルを殺せなかった・・・
曰く、サルは撃たれると死ぬ間際に顔が真っ赤になり、その後青くなる。 死ぬと白くなって死に顔は人にそっくりだ・・・
曰く、どんな手練れな猟師でもサルの皮を剥いてから解体すると夜にうなされる・・・。なぜなら皮を剥いたサルは人間にそっくりで内臓の位置や形は赤ん坊のものにそっくりだから・・・
ちょっと思い出してもこれだけの物語をとらは先輩たちから聞いてきたナ。 それだけサルの殺生には抵抗感を感じるという事なのだろう。だから、そのサルの解体を進んで買ってでてくれる人はまずいない。
解体を引き受けてくれた狩猟者も有害駆除で殺して処分するだけより、とらみたいな少し変わったヤツに引き取ってもらって 「喰い供養」 してもらった方がサルにも良いと 考えて解体を引き受けてくれたと思うんだよね。
その気持ちに応えられるだけの金額を用意したから ちょっと高いお肉になってしまったけれど、とらはサル肉を手に入れて満足したんだ。
さて、そのやっと手に入れたサル肉をどう調理しようか??
もちろん、とら自身でも調理してみたんだけどさ、やはり料理の上手な人に調理してもらいたいんだよね!
そこで目を付けたのが夏休みを終えて狩猟アジトに戻ってきた狩猟仲間の料理の上手いヤツ、通称「シェフ」に肉を預けることだ!
前回の報告で夏休みを終えて狩猟アジトに再集合した仲間との呑み会、イノシシ、アライグマと味わって、箸休めに近くで釣ったヒラメの刺身を食べて(実はヒラメが一番のワケあり??)
いよいよ後半戦に突入なんだけれど、シェフさんがさらに気合いを入れて臨まなくてはいけないサルが控えていたと言う訳なんだね!

ニホンザルの焼いたもの。 味付けは塩と胡椒のみ。人気であっという間に半分食べられてしまった!悲っ!
先ずはサルの肉自身の味をみるために、焼いて塩こしょうをさっとひとふりしていただきました。
初めて味わったサルの肉の感想は・・・ 意外なほど、あっさりしていたんだよね!赤身の牛肉のような感じ、いや、もっとクセがないかも知れない。 鶏肉に近いかも??
このサル肉が昔はマタギさんの主な収入源になり、高級な食材として珍重されていたんだ・・・
いろいろ想いを馳せたくなるお肉なんだけれど、とらが想像するに、昔の人々のお肉の味の基本は一番身近かな鶏のものだったと思うんだな。
鶏肉に比べてイノシシや鹿は個性が際立つ。普段、あまり肉食をしない人々にとって「美味しい」と感じるより違和感を感じた食材だったのかもしれないね。
その中でサルの肉は特徴、クセがなくて鶏肉のように食べやすい。 「誰もが好みやすいお肉」だったんじゃないかな?

サルのプルコギ。 ピリ辛にすると一味違います。
シェフのサル料理二品目はちょっとピリ辛風味。 これもとても旨し!

ツキノワグマの焼いたもの 塩こしょうのみで肉自体の味を確かめます。
このツキノワグマのお肉を持ち込んだのもとらなんだ。 このクマは夏の有害捕獲で捕えられたいわゆる「有害駆除の夏グマ」のもの。
クマ肉の評価は冬眠前の食い込み期に捕獲された脂肪がたっぷり乗った「秋グマ」のものが最上とされているんだけれど、夏グマだって調理法次第で美味しく食べれるに違いないと、とらは確信していたんだよね。
実際に焼いただけでも充分に美味しかったんだけど、同じものを食べても「美味い」と「ちょっと臭い」と意見が分かれる。
まぁ、それが野性肉食の面白さで、どんぴしゃり!波長が合う肉と出会う醍醐味が魅力なんだろうな。

同じく、ツキノワグマの「夏グマ」をひと手間かけて調理したもの・・・
もうさ、この段階まで宴会が進んでくると 酔いもいい加減に回っていて何を食べたかの記録を取るのがとても大変なんだ!
よく、グルメ記事を書く記者さんが「仕事で美味しいモノを食べれていいわねぇ~」とか言われるんだけど、とらはそう思わないんだ。
美味しいモノを食べながらそれを味わう事に集中できないって実はすごくつらい事なんだよねっ!
このクマも同様でとらは何とかリポートを試みようとしたんだけど、酔いに負けて降参なんだな。安逸についつい流されるとらなのでございます。
どんな料理だったか思い出せないんだけど、「臭み、クセも調味料と合わせて昇華させて風味と成す」 を地で行っている旨さだ!ということだけご報告しておこう。
そんな訳でとらたちの夏休みも終わって、いつもの呑み会で楽しんで、いつものイノシシを追っかける日常が始まりました、という報告なんだよね。
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昨年、とらは秋田の阿仁に出かけたんだ。 阿仁はいわずと知れた マタギの里。
とらたち狩猟を行う者にとってリスペクトすべき文化と伝統を持った狩猟業界の「聖地」だ。 旅の記録はこちら!⇒夏休みなのだ!Ⅲ
とらは狩猟者の端くれとして聖地巡礼、一度はこの土地を訪れてみたかったんだ。 「阿仁マタギ資料館」にも行ったんだけど申し訳ないが「過去の記録」が多くて今現在の阿仁マタギの状況などは伝わってこない事が残念だったな。
そんな展示物の中でとらの目を一番引いたのは
『以前のマタギの主な獲物はニホンカモシカとニホンザル。 この二種がその後狩猟禁止となったため、ツキノワグマ猟がマタギを代表する猟になった。』 という内容の説明だ。
そう、多くの皆さんに大変意外なことかもしれないんですが、昔の日本人はどうやらサルを食材として見ていたらしい・・・
それもどうやら「薬喰い」も含めた高級食材としての様なんだ!
日本が誇る、希代の芸術家、北大路魯山人、 篆刻家・画家・陶芸家・書道家・漆芸家・料理家・美食家などの様々な顔を持ったまるで 「美味んぼ」にでてくる海原雄山のような人物もおサルさんを召し上がっていたようなのでございます!
⇒北大路魯山人・「猪の味」 ⇐ こちらにサル食についての記述アリ。
ふ~ん、サルは食べて美味しいんだ! 機会があったら一度味わってみたいなぁ!でもヒトに似ているから撃ちたくないし、その前に狩猟対象獣じゃないから撃つ事もできないなぁ・・・ などと思っていたんだよね。
最近のとらは殊、狩猟、野生動物の事になると想いが叶う傾向にあって、「サル肉手に入らないかな~」と考えていたら有害駆除されたサル肉を解体処理して送ってくれる方が現れた!
とらはさっそくお願いしたね! そして謝礼を受け取ってもらったよ。
ヒトに似るサルの解体は精神的な苦痛も伴うだろう・・・ それに報いる「お礼」が必要なお肉だととらは考えたんだな。
サルにまつわる狩猟エピソードは多いんだな。
曰く、撃とうと狙ったら猟師に向かって「撃たないでくれろ。」と両手を合わせて拝まれた。
曰く、撃ち取ったサルを回収にいったら死体が見つからない。 きっと仲間が遺体を持っていったに違いない・・・
曰く、仲間を討ち取られたサルが夜中猟師の家に集まってきてひと晩大騒ぎをしていった・・・
曰く、箱わなに掛かった親子サル。 止めを刺そうと近づいたら、母ザルが身を挺して子ザルを庇った・・・。「ダメだっ!俺には撃てねぇ。俺にもそっくりな赤ん坊がいるんだ!」若い猟師はどうしてもその親子ザルを殺せなかった・・・
曰く、サルは撃たれると死ぬ間際に顔が真っ赤になり、その後青くなる。 死ぬと白くなって死に顔は人にそっくりだ・・・
曰く、どんな手練れな猟師でもサルの皮を剥いてから解体すると夜にうなされる・・・。なぜなら皮を剥いたサルは人間にそっくりで内臓の位置や形は赤ん坊のものにそっくりだから・・・
ちょっと思い出してもこれだけの物語をとらは先輩たちから聞いてきたナ。 それだけサルの殺生には抵抗感を感じるという事なのだろう。だから、そのサルの解体を進んで買ってでてくれる人はまずいない。
解体を引き受けてくれた狩猟者も有害駆除で殺して処分するだけより、とらみたいな少し変わったヤツに引き取ってもらって 「喰い供養」 してもらった方がサルにも良いと 考えて解体を引き受けてくれたと思うんだよね。
その気持ちに応えられるだけの金額を用意したから ちょっと高いお肉になってしまったけれど、とらはサル肉を手に入れて満足したんだ。
さて、そのやっと手に入れたサル肉をどう調理しようか??
もちろん、とら自身でも調理してみたんだけどさ、やはり料理の上手な人に調理してもらいたいんだよね!
そこで目を付けたのが夏休みを終えて狩猟アジトに戻ってきた狩猟仲間の料理の上手いヤツ、通称「シェフ」に肉を預けることだ!
前回の報告で夏休みを終えて狩猟アジトに再集合した仲間との呑み会、イノシシ、アライグマと味わって、箸休めに近くで釣ったヒラメの刺身を食べて(実はヒラメが一番のワケあり??)
いよいよ後半戦に突入なんだけれど、シェフさんがさらに気合いを入れて臨まなくてはいけないサルが控えていたと言う訳なんだね!

ニホンザルの焼いたもの。 味付けは塩と胡椒のみ。人気であっという間に半分食べられてしまった!悲っ!
先ずはサルの肉自身の味をみるために、焼いて塩こしょうをさっとひとふりしていただきました。
初めて味わったサルの肉の感想は・・・ 意外なほど、あっさりしていたんだよね!赤身の牛肉のような感じ、いや、もっとクセがないかも知れない。 鶏肉に近いかも??
このサル肉が昔はマタギさんの主な収入源になり、高級な食材として珍重されていたんだ・・・
いろいろ想いを馳せたくなるお肉なんだけれど、とらが想像するに、昔の人々のお肉の味の基本は一番身近かな鶏のものだったと思うんだな。
鶏肉に比べてイノシシや鹿は個性が際立つ。普段、あまり肉食をしない人々にとって「美味しい」と感じるより違和感を感じた食材だったのかもしれないね。
その中でサルの肉は特徴、クセがなくて鶏肉のように食べやすい。 「誰もが好みやすいお肉」だったんじゃないかな?

サルのプルコギ。 ピリ辛にすると一味違います。
シェフのサル料理二品目はちょっとピリ辛風味。 これもとても旨し!

ツキノワグマの焼いたもの 塩こしょうのみで肉自体の味を確かめます。
このツキノワグマのお肉を持ち込んだのもとらなんだ。 このクマは夏の有害捕獲で捕えられたいわゆる「有害駆除の夏グマ」のもの。
クマ肉の評価は冬眠前の食い込み期に捕獲された脂肪がたっぷり乗った「秋グマ」のものが最上とされているんだけれど、夏グマだって調理法次第で美味しく食べれるに違いないと、とらは確信していたんだよね。
実際に焼いただけでも充分に美味しかったんだけど、同じものを食べても「美味い」と「ちょっと臭い」と意見が分かれる。
まぁ、それが野性肉食の面白さで、どんぴしゃり!波長が合う肉と出会う醍醐味が魅力なんだろうな。

同じく、ツキノワグマの「夏グマ」をひと手間かけて調理したもの・・・
もうさ、この段階まで宴会が進んでくると 酔いもいい加減に回っていて何を食べたかの記録を取るのがとても大変なんだ!
よく、グルメ記事を書く記者さんが「仕事で美味しいモノを食べれていいわねぇ~」とか言われるんだけど、とらはそう思わないんだ。
美味しいモノを食べながらそれを味わう事に集中できないって実はすごくつらい事なんだよねっ!
このクマも同様でとらは何とかリポートを試みようとしたんだけど、酔いに負けて降参なんだな。安逸についつい流されるとらなのでございます。
どんな料理だったか思い出せないんだけど、「臭み、クセも調味料と合わせて昇華させて風味と成す」 を地で行っている旨さだ!ということだけご報告しておこう。
そんな訳でとらたちの夏休みも終わって、いつもの呑み会で楽しんで、いつものイノシシを追っかける日常が始まりました、という報告なんだよね。
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