野生動物と向き合う のは誰だ?

2017-06-15
先日、とらは 「野生動物管理の体制と資源的利用のあり方を考える」 という 
公開シンポジウムに参加してきたんだ。

聴講していて とら なりにいろいろ考える事があったんで感想、意見として残しておこうと思うんだ。


いま、日本の狩猟界、というか 「野生動物対策」 はとても面白い時期に差し掛かっている事を実感したんだ。

「分水嶺」にさしかかっているんだろうな・・・ 
岩に波がぶつかって 砕けるから水の流れは荒々しくて いろいろごちゃごちゃは続くんだろうけどね!

だけど、波の荒い瀬をくぐり抜けた先には必ず穏やかな瀞場があることをカヌーで遊んでいたとらは知っているんだな!





今回のシンポジウムは 「野生動物管理全国協議会」 というところの催しなんだ。

日頃どんな活動をしているかはこちらをご覧頂きたいんだね ⇒ 野生動物管理全国協議会

「野生動物管理全国協議会は、生息数が急増し、捕獲が重要な施策となっている野生動物について、その適正な保護管理を推進するための社会基盤の構築、および各省庁・都道府県・市町村等の施策を効果的に実施するための学術的な調査研究を基礎とした政策提言と事業支援を行うことを目的として設立しました。」     

野生動物管理全国協議会設立趣意書前文より


とらが理解するに、
一部の野生動物の生息数が急増して、自然環境の他に農林業などヒトの生活にも様々な影響を与え始めてきた。

さらにそれらの動物との不意の遭遇による交通事故や人身事故なども増えてきてざまざまな対応がとられてきている。
しかし、その対応は一部場当たり的だったり、成果を得られていない対策がある。 
だからそれらの情報を共有して研究者、行政職員、捕獲者、食肉関係者の連携を強めていこう、というコトを目指していると理解したんだな。




開場して挨拶の後、パネリストの皆さんがそれぞれの活動について報告があったんだ。

琵琶湖でカワウの捕獲管理を担っている会社の実施事例はとても参考になった。
この会社は元々鳥類の調査、研究を行っていた会社なんだ。環境アセスメントなどで自然環境の調査を長らく続けていた会社だから動物の生態を把握する事には長けている組織なんだな。
いま、これまで野生動物の調査、研究を行ってきた会社が野生動物の捕獲管理の分野に参入し始めているんだね。

鳥類調査の手法でその地域に生息するカワウの生息数を割り出して年間の捕獲数を割り出して行政と捕獲数を決める。
実際の捕獲ではカワウの年間の行動パターンから 「容易に飛び立たない、居つきの良いタイミング」を割り出して捕獲の場所とタイミングを割り出す。

使用する銃器は発砲音の小さな高性能エアライフル。
射撃対象をスコープで確認して成鳥、若鳥、幼鳥を一瞬で判別。 繁殖中、もしくは繁殖適齢期の若鳥を中心にヘッドショットで
ひと鳴きもさせずに着実に仕留めていく、という事例紹介だ。 

・・・幼鳥をあえて狙わないのは、幼鳥の親鳥を排除すればエサをもらえなくて幼鳥は生きていけない、という判断だ。
残酷だけど理にかなった捕獲だね。
カワウがいっぱい群れている中に 散弾銃をバッカ~ン!  とぶっ放す訳じゃないんだね。

二年位前から「認定鳥獣捕獲等事業者制度」が始まって、これまで野生動物の捕獲管理というと、猟友会にしか依頼できなかったのが大きく変わって
このような専門的知見を持った「動物の専門家」に業務を発注できるようになってきた、というコトはとても大きな進歩だろう。

だけど、まだまだ課題はある・・・ というお話でした。



文章

趣味のハンターと専門の捕獲管理事業者とは目的、行動が違う。今の日本はまだその部分の線引きがしっかりなされていない。

まだまだ残る、大きな課題として挙げられたのが、ハンター、猟師、そして「野生動物の捕獲管理を専門に行う狩猟者」の区別。

海外ではカラー(間引き者) と呼ばれる捕獲専門狩猟者と趣味のハンターとの区別が日本ではまだついていないことなんだ。

・・・鉄砲持って動物追っかけるんだから、やっていることは一緒だろう?? って見られ方が日本では一般的というコトなんだな。


とらはいい加減な様でいてこれでもけっこう、自分の狩猟での立ち位置にこだわる方なんだ。 とらの考え方はこんな感じ。

趣味の狩猟者はやはり 「ハンター」 と呼ぶのが相応しい。 猟期中の週末だけハンティングを楽しむ皆さんだ。 
イメージ的には大型4WDでアフリカのサバンナを行くイメージだね。 概してお金持ちさんで余暇に狩猟を楽しむ皆さんだ。

最近ではアウトドアハンター とでも呼びたい若い人たちが入ってきた。 アウトドアの延長に狩猟を捉えていて年間を通して頑張りたいけど、狩猟期間が3ヶ月しかない、有害駆除に参加したいけど「経験が浅い」 とメンバーに入れて貰えず、悶々と過ごしている若い人たちだ。 やる気はあるんだけど、機会がないんだ。

代々、その土地で猟を行っていて数代前までは狩猟で得た獲物が生活の糧になっていた方などは 「猟師」 さん。

今は狩猟でお金を得て生活の基盤を築いているわけではないけれど、農業などに携わり、生活防衛も兼ねての猟期中の狩猟や有害鳥獣捕獲駆除などの中心を担っている皆さんだ。
今でも街中にシカやイノシシが現れた! クマが! という時に出動して捕獲駆除する皆さんがこのジャンルに入っている皆さんだね。
「マタギ」 さんはこの猟師さんたちがさらに昇華した狩猟の専門集団でとらから見ると雲上人の存在。

とらは何かの場で 「猟師のとらさんです~。」と紹介される事もあったりするんだけど、「いやっ、そんな大層なモンじゃないので・・・」と赤面してしまうんだけど、
万が一 「マタギの~ 」とか紹介されたら断固拒否!するくらいに雲の上の存在なんだ。


ではそんな 「狩猟者の呼び名にこだわる」 とらがどんな風に自分を紹介しているかと言うと 「専業狩猟者」なんだ。

「狩猟行為をすることでお金を頂いて生活しています。」というコトなんだけど、 「カラー」  「カウリングをするヒト」 と名乗ってもいいんだよね。

だけど 「カラーです。」と 言って判る人はたぶん、いまの日本にはほとんどいない。






プロあま
プロとアマチュアの違いがよく判る資料。 「漁師」もプロとアマがいて、アマチュアの釣り師を「漁師」とは呼ばないけど狩猟界は・・・

今回のシンポジウムの大きな目的の一つが 狩猟を趣味とする人と、野生動物捕獲のプロの区別認識を行政を含めた野生動物の保護管理に関わる人々に認識してもらおう、」だと思う。  とらはその考えには大賛成だ。

今、狩猟界をにぎわわせている様々な課題 「報奨金サギ」 とか 「夏の有害駆除をあまり熱心にやってくれない。農業被害が減らない。」 「ベテランハンターによる誤射」 などはプロとアマの区別がないまま 「鉄砲を扱えるから という事で有害駆除にアマチュアのハンターが参加しているから、という側面もあるのではないだろうか。

今、野生動物の駆除を担っているのはほとんどが猟友会のハンターなんだな。
猟友会は狩猟を楽しむ趣味の団体で有害駆除への協力は 「ボランティア」 「社会貢献」の位置付けなんだ。

本当は夏の痩せたイノシシなんて捕獲したくない。脂がたっぷり付く冬の猟期までそっと置いておきたいんだよね。
シカも同様。 今の時期に捕獲しても暑さですぐに腹が膨らんで犬のエサにするにも臭くて扱うのがイヤだ。
だけど、まったく地域に貢献しないわけにもいかないし、昨今鳥獣被害が増えて報奨金も値上がりしているから行っている、と云う側面もあるのではないかな?

行政側にも課題はあると思うな。
「認定鳥獣等捕獲業者」に有害駆除の依頼をするとお金がかかるから、できるだけ猟友会に任せておきたい・・・ という本音もありそうだ。
「認定鳥獣等捕獲業者」はそこの地域の捕獲管理を集中的に行うからそれなりにお金がかかる。内容にもよると思うけど、専従者が張り付くわけだから、費用は数百万円から千万円規模だろう。

だけど、猟友会にボランティアでお願いすれば、費用は 「出来高払いの報奨金」で済むから 捕獲がなければ費用は発生しない。
安がりに済むんだよね。

だけど、ボランティアに頼って鳥獣被害をなんとか凌ごう、という段階ではない事は明らかだ。そろそろ行政も腹をくくるべき時期だ。
専門の捕獲管理者が張り付いて捕獲を集中的に行えば農作物被害はあっという間に激減することだろう。 
今はそれをただやっていないだけ。




階層
体系付けられた海外の野生動物捕獲に比べて日本では「野生動物の捕獲ができる人」という大雑把なくくり。

今後は海外の事例のような役割り、目的に応じた体系が作られていくのだろうと思う。 もちろん、捕獲管理にも一定の費用が掛かる事は行政の皆さんも覚悟してくれないと困るよね。 狩猟ボランティアでは喰っていけないからね。

このような体系だった仕組みができて、それが社会に認知されるとそこでようやく 「専業の狩猟者=カラー」が誕生できる。

今の狩猟業界は専業で食べれる人はごく僅か。 それも短期の契約とかで身分的にはとても不安定だ。
これから家族を作って養っていこうという若い人にはとても奨められない不安定な仕事だ。

とらのところにもたまに 「とらさんみたいな仕事に就きたいっす!」みたいな相談を受ける事もあるんだけど、とらは「あと10年待った方がいい。それまでは週末ハンターで腕を磨くこと。有害駆除参加のチャンスがあったら逃さない事。」 と言うんだな。

10年待って気が変らなければ本物だろうし、その頃にはカラーという職業が成立していると思うからね。今 初心者くんだって10年経てばライフルの所持申請もできるようになる。


とらの考える理想のカラーは 「公務員ハンター」 なんだな。

今回のシンポジウムでスピーカーの皆さんは 「食肉利用に耐えられる捕殺ができる腕前と知識と技術が必要。」とかいって研修機会を作れとか学ぶ場が必要とか言っているんだけどさ、その前に狩猟者がプロとして安心して取り組める環境作りが最優先の気がする。

今の猟友会のボランティアハンターさんたちは狩猟の他にそれぞれ自分の立派な仕事を持っているから「出来高払いの報奨金」程度で駆除を担えるんだ。
金銭的には安上がりかもしれないけど、本業があるから、ヤレ、研修を受けろ、だの技術を磨け、だの言われてもそんなに時間を割くことは無理だよね。

もし今後、ちゃんと地域を鳥獣被害から守って、さらに捕獲した野生動物を食利用まで高めていくのであればその道で食べていける生活保障が欠かせない。



もしくはとらのように、とりあえず人生、ひと通りやってきた中高年世代の再利用だ。

家に居ても、子どもには「パパ邪魔。こっち見ないで!」とか憎まれ口をきかれるうえ、奥さまも「ダンナ元気で留守がいい。」と思っている・・・ 悲っ!
そんな家族からも見捨てられ、会社からも「パソコンもまともに扱えない クスッ」と疎んじられ、居場所をなくした連中の再活用だ。

「今が楽しけりゃソレデイイ たそがれ世代」 をかき集めて即席の鳥獣捕獲部隊を編成して鳥獣被害を凌ごう、というならそれもアリかも知れない。

だけど、「たそがれ世代」は動ける期間は短いからどんどん追加補充が必要そうだな。 
すぐに「腰が痛い。」とか「肩があがらない。」とか言い出しそうだし、「来週末は精密検査。」とか 「糖尿がでて入院・・・えへへ。」とか言ってすぐ戦線離脱してしまいそうだ。



いちばんとらが 「良いな!」 と思うのは、公務員のようにある程度身分が保証されて、鳥獣被害対策をその地域全体の出来事の一つとして長い期間、見つめていける人材だと思うんだ。

鳥獣被害対策、農業の営農問題、森林、里山の状況、そしてその土地に住む住民、特にお年寄りの動向まで気にかけられる地域を包括的に見ることを仕事とした身分保障だ。

「地域おこし協力隊」 という制度もあるけど身分的に不安定すぎだ。 2年か3年で任期が切れて、自分で何か起業しろといわれてもね。それで起業できるくらいならとっくに他の誰かが何かしているだろう。

その視点が今回お集まりのスピーカーの皆さま、ある程度ステイタスもお持ちの「逃げ切り世代」に欠けている視点かもしれない。
何の身分保障もしないで鳥獣捕獲管理に人生を賭けられる若い人材が沸いてくるとでも思っているのかな??

大学のセンセイも中にいたけどサ、自分の教え子がそんな不安定な身分で仕事をするハメになることとか考えてみた事あるのかな?





夏鹿
夏鹿のロースト

二次会は場所を変えて 「駆除で捕獲した旬でないイノシカもこんなに美味しい!」という料理を堪能したんだ。

夏の鹿は実は 「旬のもの」 なんだな。

青草をたっぷり食べた夏の鹿は冬の狩猟期に取れる鹿とは別の美味しさを持っているんだ。

夏の鹿を食べれるのは、鹿が増えて駆除が盛んになった今の時代だから味わえる特権かもしれない。 少し前の鹿が大事に保護されていた時代では猟期外の鹿なんて食べるコトはできなかった。

さらに冷蔵技術と流通の発達も相まって今ほど美味しく食べれる時代はこれまでになかった、と思うんだ。



イノシシ赤み肉
夏イノシシ。脂肪のほとんど付いていない赤身のお肉でしたが調理次第で充分に美味しく食べられる。

「イノシシ肉は脂がたっぷり付いた冬場に限る。」は誰もが信じている 「イノシシ脂肉 マンセ~信仰」 だ。 

夏の脂のない赤身のイノシシは 「食い物じゃない。」くらいに評価が低いんだ。 だから農家さんがいちばん獲って欲しい夏場に駆除が進まない側面もある。
しかし、この日食べた赤身イノシシ肉は充分に美味しかった!
逆に脂がないから、いろんな料理への応用が効く可能性があるよね。 夏場のイノシシ肉がそれなりの評価を得られて流通に載るようになったら面白い展開が拡がりそうだ。

もともと野生肉料理、ジビエは 「それぞれの個体の個性、特徴に合わせてそのクセを活かして昇華させて見事は一品に仕上げる事が醍醐味、シェフの腕の見せ所。」という料理なんだ。

夏イノシシの魅力、クセを昇華させることに喜びを見出す料理人さんが増えることを望みたいね。

「夏のイノシシなんて脂がのってなくて喰いモンじゃない。」とか言っている料理人は野生肉を扱う資格ナシっ! と
私の胃袋が申しております。 ハイ。
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