野性肉流通がメジャーになるかも??

2017-06-08
狩猟業界に朗~報!??  こんなニュースが飛び込んできました! ⇒ 官邸主導でジビエ拡大

記事の見出しははこんな感じ
「シカやイノシシなど、農作物に深刻な被害を与える野生の鳥獣。 安倍政権きっての実力者である菅義偉官房長官が旗振り役になり、政府が対策に乗り出すことになった。
目指すは野生鳥獣肉の利用拡大。官邸主導で盛り上げ、被害減少と農村の所得向上という「一石二鳥」を追おうとしている。」



ほう、野生鳥獣利用に政治が動き出すんだ! ダイナミックな動きが期待できるかも!!







内容はこんな感じ、記事が消えちゃうかもしれないから要点だけまとめておくんだな。

「ジビエの利用拡大には、安全性の確保や肉のカットの共通ルール化、安定的な供給などが課題とされ、「課題解決への対応を
全ての省庁一体となって取り組み、スピード感をもって政府をあげて対応策に取り組んでいきたい」とした。

野生鳥獣による農作物の被害額は年間200億円近くにのぼる。政府はジビエの利用拡大が、政権が掲げる地方創生にもつながると算段。
農林水産省に新たな組織を設け、外食や学校給食、ペットフードなどで、利用拡大を図る方針だ。(朝日新聞 2017.4.30)」

このような方針がでて、具体的にはジビエ(野性肉)の認証制度を国が作って安全なジビエを流通させるのだそうだ。

おおっ!日本国の後ろ盾を得て堂々と安全な野生肉販売ができると言うわけだ!  

まぎれもなく、「官邸の最高クラス」のご意向だぁ!  



ジビエは国家戦略!錦の御旗をゲット! 親方日の丸 万歳っ!  


・・・うん?? どこかで以前同じ話を聞いたぞ! なんか、概視感があるなぁ・・・  そしてイヤな予感もするゾ。





とらが20年近く会社員生活をして過ごした有機農産物流通の世界では15年くらい前に「有機JAS認証制度」が始まったんだ。

それより少し前には有機農産物、今でいう所のオーガニック食品の人気が出てきてまがい物もたくさん売られているような時代だった。

青果市場の中に「有機農産物」のシールが堂々と売られていた程だったから規制して真っ当な物だけを有機農産物として認めよう、という認証制度は一理あると思ったんだな。

だけど、それから15年経った今、オーガニックフード、有機野菜は市場のなかで一定のポジションは得たものの、
爆発的に流通量が増した!、とか有機農家が爆発的に増えたとか 無農薬のキャベツで大儲けしてフェラーリの新車を色違いで数台、キャッシュで買っちゃった・・・ウフッ  みたいな話は聞こえてこない・・・。

国が認証してお墨付きを与えても、必ずしも売れ行きがあがるとか良い話ばかりではない気がする。

有機農産物の認証の時は 「ニセモノ排除の規制のため」だったけど、今回の野生肉の場合は 「消費拡大の為の安心保障」の意味合いが強いから認証が消費を後押ししてくれそうだけど、
「それでもこんなところに気をつけないと尻つぼみになっちゃうんじゃない?」 ってことをオーガニックブームの渦中を経験したとらが考えてみたんで何かのご参考に。



・市場より高すぎちゃダメだよね
国の基準を満たして設備投資もして、認証も受けた!オレの扱う肉は「国のお墨付きの最上級の野生肉だぁ!」とか言って、
「いいモノ」で手間もお金もかかっているからって、どんな値段を付けてもいいってモンじゃないと思うんだよね。

すでに 「当店は8000円/kgのイノシシ肉しか売りません!キッ!」という野生肉の精肉業者さんとか 「シカ焼肉丼1800円!」みたいな値段をつけた野生肉料理があるんだ。

一部のお金持ちさんからは支持を受けるかもしれないけど、野生肉流通全体の裾野は拡がらなさそうだ。 
また8000円/kgの値段を付けられるイノシシ肉なんて、そんなにたくさんあるわけじゃないし季節も限られているから大きな金額にはなりそうもないと思うんだよね。

㌔8000円の高級肉を10頭分販売するのと、夏の有害駆除で捕獲された脂肪がほとんど付いていない現在評価で言うところの「クズイノシシ」。 その「クズイノシシ」の流通を見直して「脂はついていないけどそこそこ美味しい。」評価を得られて、そこそこ値段の肉が流通できるようになったら、8000円/kgの肉を販売するよりずっと大きな利益につながると思うんだ。

獣被害で悩んでいる農家さんにとっても夏イノシシの駆除が進んで喜ばしい事だしね。

レストラン側だってお客の予算で安めのモノから高価な肉までひと通り揃えておきたいだろう。
高価なイノシシ肉だけをそこの業者にわざわざ名指しで頼んだりするかな??

消費者だって国が安全を保障してくれるからって高い野生肉を買ってくれるかな??

とらは自分の懐具合から考えて 国産豚の価格を超えてはいけない気がするナ。 少なくともとらは豚肉を超えたら野生肉を常食しない。
気心知れた仲間と馴染みのシェフの店で美味しいジビエ料理を食べることもあるけど、それは「特別な日」の事。


・自己満足していちゃ、ダメだよね
どことはいわないけれど、とらが生息していた有機農産物の世界でこんな事があったんだ。

「・・・国の有機認証が始まって農産物の出所、どんな人がどこの畑で作っていつ出荷したのか、そのトレサビリティーがちゃんとできるようにしなくてはいけない。
わが社の扱う農産物はお客様から 『今日届いたお野菜はどの農家さんが作ってくれたキャベツかしら?』 という問い合わせにも迅速に即座に答えられるようにしようっ!」 
                            という社長の鶴の一声で 農産物の流通システムを大幅に変えた会社があるんだ。

おかげでその日入荷してきた野菜がどこのお宅に配達されたかが直ぐに判る様になった! トレサビリティーもバッチリだ!素晴しい!

・・・だけど、そのシステムに載せる為には、入荷してきた野菜を一日長く余計に倉庫で眠らせる事になってしまった。

世の中は 「朝採りシャキシャキ レタス! 」とか 「産地直送! 朝獲り トウモロコシが絶品!ウチの目玉商品です!」みたいに 「鮮度競争」をやっているヨコでわざわざ鮮度を落とした野菜を売るなんて「自己満足の極み」だったと思うんだよね。

「今日届いた野菜の素性を今すぐ教えてっ!」という要望がどれくらいあったかはとらは知らない。

もしかしたら「今日届いたキャベツ、しおしおのへろへろなんだけど、こんな野菜を出荷するなんて、いったいどんなヤツ?」みたいな問い合わせの方が多かったかもしれないね。

お金をかけて野菜の鮮度をわざわざ悪くする仕組みを作らなくても、「産地の担当者に確認させますから少しお時間いただけますか?」の対応するだけで充分に事は足りたと思うんだよね。

一分一秒を争うような事柄じゃなければそれで事が済む、というのが「信用」ってヤツ、「ブランドの力」だと思うんだ。

わざわざお金をかけて自分のブランドを壊しちゃダメだよね。

狩猟業界でも自分の腕に自信を持っている方は多くて、プライドがあることは良い事だけど、「自己満足」とは一線区切らないとね!


・他を批判していちゃ、ダメだよね
保健所の許可をとって粛々と安全な野生肉を提供してきていた皆さんは 

「我が世の春がやってきた!国のジビエ認証で保健所の許可を受けていない個人解体処理をした肉、「闇肉」が駆逐されて自分達の肉がもっと売れるようになるぞっ!」

と気炎をあげている皆さんもいるんだけどさ、果たして本当にそうなるのかな??



厚生労働省から野生肉の取り扱いガイドラインがでたのが2年位前のこと。

それまでの野生肉は 「違法な自己解体処理が行われた、いわゆる『闇肉』だらけ」 だったんだ。・・・新しい基準で見るとだよ。

当時は 「闇肉が横行状態」 だったんだけど、それは本当に「闇」のものなのだろうか? 

とらは、そのことが 「お店の『ウリ』 」 でもあったんじゃないかな、と思うんだよね、それを駆逐、潰していいのかな。
曰く
「ヘッドショットで仕留めた本当に良いものを提供する為にシェフが自ら捕獲して血抜き処理を行った野生肉しか当店ではお出ししません。」  みたいな店主のこだわりとか、

「ウチの料亭で使う野生肉はすべて先々代の祖父の時代からお付き合いのある猟師さんから送ってもらっているものです。」  みたいな代々築き上げたブランドはどうなっちゃう?

もし、「今後、野生肉は国の認定を取ったものでなければ流通してはいけない。」となったら、数千万円かけて解体処理場を整備しない限り、これらのブランドはすべて「闇肉」になってしまう!

もしくは地域に作られた解体処理場に持ち込まれて、解体されて、名人が一撃で仕留めた最高の肉も銃弾をたくさん撃ちこまれた血肉だらけの肉も一緒くたになってしまうかもね。
これはこれで、一つの文化の崩壊、断絶のような気がするけど、どうなんだろうか?

また、イノシカには認定受けた処理場ができるとして、専用の解体処理場が未だにない、キジやカモ、ヤマドリ、クマなんかの流通は一切止まってしまうのかな??
とらが大好きなヒヨドリやキジバトの処理場なんて聞いた事がないぞっ! スズメはどうする?? 闇スズメを喰らうしかないのか??

イノシカだけ認証制度は適用するけどほかの野生動物には適用はなし、というのもおかしな話になりそうだ。

認証制度が始まると我が世の春で闇肉が排除される、どんどん闇ジビエを排除すべき!と思われている皆さまも業界全体を考えると、批判だけしてていいのかな??

選択の魅力がなくなって、野生肉がつまらないものになってしまいやしないだろうか??


今は他者の批判より自分がなすべきことを淡々、粛々と行うべきだと思うんだな。





・・・そして、最近思うんだけど、「認証」に対する日本人の感覚って他国、特に欧米あたりの「契約社会の人」とは大きく違うんじゃないかな?というコトなんだよね。


こないだニュースで知ってびっくりしたんだけれど、  「漁師のモーニングコール」 ってのが人気らしい!!

震災復興を目指す、宮城県石巻の漁業者が始めたんだけど、早起きが苦手な人が漁師さんにモーニングコールをお願いするんだ。 漁師さんは早起きだからねっ!

漁の仕事がひと段落する朝の時間に依頼のあった人から聞いた電話番号に漁師さんが電話を掛けて起こしてくれるってサービスらしいんだけど、紹介されていたのはどの方も女性で20代のうら若い女性もモーニングコールをしてもらっていたぞっ!!

ちょっとうらやましい・・・ 「漁師」でなくて 「猟師」なんだけどさ、 とらもモーニングコールを承っちゃおうかな! 

「おはようっっ! ちゃんと起きれたぁ? 今朝は青空がきれいだよっ! 

こっちはね・・・いま シカの大きいヤツを仕留めたところなんだっ!心臓にナイフ入れて血抜きをしているよ!
ドクドク血がでてるから、美味しい肉になるはずさっ! ウフッ! 」 
 
なんてね。       

 ブチッ と切られるかな??


話が逸れました。

何が言いたいか、というと日本は他国に比べて他人に対する 信用」 の度合いが高いんじゃないかというコト。

普通では見知らぬ男性に女性が自分の連絡先を簡単に教えないと思うんだ。

だけど、何らかの前段があって、そこで直接、話した事がある、
・・・例えば魚市場見学とか、お魚丸ごと料理教室とかで会って話した事がある、とかSNSで相手の考え方を理解している、といった前段があると、「信用」してくれやすい気質を日本人は持っているんじゃないか。

逆に考えると、いくら国の定める「認証」に忠実でも、それだけを「錦の御旗」として掲げても消費者からの信用は得られないんじゃないか、という事なんだね。

「話せば分かる。」 「膝を交えて・・・」という言葉がまだ充分に機能している 「人と会う事」に重きを置いてる社会だから、そこの部分を飛ばしてしまっては、やはり良くない気がするんだナ。

さあ、国の肝いりでスタートする「ジビエ認証制度」 どんな事になるか、とらはとても楽しみにしているんだな!





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