「お困り動物 食事会9.17」 を開催しました!

2016-09-25
うなぎやクロマグロ、食需要が多くて乱獲気味、絶滅を危惧されているほどまでに数を減らしている動物がいます。

また、高級和牛のように飼育する為に多大な穀物を必要とするために、海外から必要以上の穀類を輸入し、現地の自然環境の破壊(農地はもともと自然環境の改変で作られます)、や農業用水の搾取、輸送の為に多量なエネルギー消費を必要とする食物もあります。
・・・余談ですがエネルギー的には高級国産和牛を育てるなら、肥育畜産家がアメリカなどに移り住んで種としての高級和牛を育てたほうがエネルギー効率的にはずっとエコです。

多大なエネルギーを消費して作られる畜産品や、数を減らしている希少動物をあえて食べるのではなく、
海外から持ち込まれて在来の動物にとって脅威になっている外来種や増えすぎて他の動植物や自然環境に良くない影響を与えている 「お困り動物」 を食べよう! っという動きが先鋭的なグリンコンシュマー達の間で話題になって大きなうねりになっているようです!
SNSでは専用グループも開設され、盛んに情報交換がなされているようです。

「情報交換だけじゃなくて実際に食べて味を確かめてみよう!」 ということで行われた、都内某所での食事会の潜入レポートなのでございます!





「先鋭的グリンコンシュマー達の間でおおきな話題になっている」 かどうかは知らないのですが、「変わったモノを美味しく食べたい。」と思うとらが勝手に始めたイベントなんだな!

この企画は「増えすぎた鹿を食べて自然環境保全!」を掲げて前回2回、プロの調理で主に鹿肉を食べて親しもう!という趣旨で行った「本格的 野生動物を食べる会」の発展型なのです。

全国各地で増えすぎているシカ。

駆除が進み、「ただ駆除して廃棄では良くない。」と考える個人や行政が増えてきて各地で様々な料理を食べる機会が増えてきています。
その事はとても良い事なのですが、「鹿肉のてんぷら」とか「鹿肉のクリームシチュー」とかあまり美味しそうじゃないものも増えてきた。
・・・鹿肉は鉄分が多いお肉なので、素材の風味が直接的に反映するてんぷらとか、ホワイトシチューにすると血の香が際立ってしまう気がするんだな。 あまりおいしく賞味できなさそうだ。


「鹿肉の基本的な美味しさを知る機会を作ろう」 ということで野生肉食の歴史が長いフレンチのシェフさんの協力でフレンチの鹿肉を食べる機会を2度開催したんだけれど、
今回からはシカも含めた日本中で増えすぎている野生動物を食べる会として 「お困り動物を食べる会」 としたんだ。

「お困り~」のネーミングをつけたのは、害獣、害鳥といった単語から受ける印象が良いものではないと考えたから。

ヒトに害があるからと言って一方的に「害~」って決め付ける事は良くないし、「 害獣を食べる会」 だとあまり美味しそうじゃぁないと思うんだよね。 毒も持っていそうな印象もありそう。


さあ、では実際の食事会のレポート なんだな!




917お困り食事会
ずらりと並んだ「お困り」 メニュー。 それぞれの素材に物語もあって、それを知るのも楽しい

とらはこの企画の開催に 「料理のプロの技で賞味する」 事にこだわるんだ。

普段から馴染みのない食材をどうやったら美味しく食べる事ができるかは、やはりその道のプロの手にかからないと気付かせてもらえないと考えるからなんだ。
素材の持つ、微妙な風味、味わいを引き立てる手段を知っているのはやはり本職さんではないかと。

「変わったモノが食べたい。」ではなくて、 「変わった食材だけど、それが持つ美味しい魅力を知りたい。」 という欲が勝っているんだ。
ただ、ヘンなもの、いわゆる ゲテモノ はキライです。





ヒグマ ボロネーゼ
ヒグマのボロネーゼ

北海道ではヒグマの農作物被害が増えていて、有害駆除されるクマも多いようだ。

「初めてクマを食べます。」という方でもクマ肉を食べやすいようにとひき肉にしてミートソースにしてくれたようですが、
もう少しストレートなクマ肉を味わいたかったな。

安くない参加費を払って「お困り動物」を敢えて食べたい、という皆さんが集まったんだから、食べやすい「だまし技」は必要なかったかもしれない。





シカグリエ
シカのロースト。産地は岡山県の美作。 今日の食材の中では 「いちばん普通」 に思えた食材でございます。


今日集まった食材の中ではいちばん 「普通」 に思えた鹿肉。

・・・思えば2013年、とらがキッチンカーで鹿肉のシチューを渋谷の国連大学前ファーマーズマーケットで売っていた時のこと。

向かいにある青山学院大の女子大生に 「え~っ! バンビ食べちゃうんだってさっ!」 とか言われるほどしか肉は知られていなかったんだよね。
鹿肉は数年前にくらべればずっとメジャーな食材になった気がするんだ。 今回食べてみてほっとできるのも鹿だったナ。

食べるのに「心を構えなくていい」のはだいぶラクですし、そのポジションを得て初めて 「普通の食材」 として認められたことになるんじゃないかな。




アメザリブラックバスパエリア
「お困り動物を食べる会」を象徴する食材のアメリカザリガニはパエリアになって登場! 見た目もいちばんインパクトあります。

「お困り動物」の看板みたいになってしまったアメリカザリガニ。

子どもの頃から遊んでもらって馴染みがあるし、たくさんいる生き物なのに「食材」という視点はなかった人がほとんどではないかな?

このアメリカザリガニも田んぼの畦に穴をあけたり、在来の希少な水草を食べたりで立派な「お困り動物」なのであります!

先日、テレビで見たのだけれど、ザリガニが生息する国でザリガニを食べないのは日本だけだそうです。
アメリカの南部のほうでは辛く味付けしたスープに入れて楽しむ 「お袋の味」 だそうです。

今回、パエリアになって登場しましたが、ザリガニのダシが効いていて味わい深い一品になっていました!

アメリカザリガニはイケます! 美味しいです!とも言えるんだけれど、今回はこのアメリカザリガニに野生動物の食利用の難しさを教えてもらった気がするのでございます。   詳細は後ほど!


ザリシカビノス
ウチダザリガニとアメリカザリガニ、ホンビノスガイとしか肉。

オレンジ色に茹で上がっているのは「食用」として移入されたウチダザリガニ。 皆さま、おなじみのアメリカザリガニはウシガエル、いわゆる食用ガエルの餌として日本に持ち込まれたザリガニです。

両者を並べてみるとウチダザリガニのほうがずんぐりしていて肉もその分多くついていそうです。

食用として持ち込まれたウチダザリガニも結局は食材として日本人に定着しなかったんだ。 わずかに北海道の子ども達の間で釣ってゆでて食べることが楽しみとして定着しただけみたい。

ウチダザリガニは放流用のワカサギの卵にまざって各地の湖などに広まっていってしまっていまは「特定外来種」指定されて、生きたまま移動させたり、飼ったりする事はできません。

ちなみにカナダ原産でとても大型になり、食べて大変に美味しいザリガニなんだ。 欧米ではとても人気の食材だ。

ハマグリに似た貝は ホンビノスガイ。
こちらは積極的な持ち込みはされていないのですが、輸送船の水バラスト(自動車運搬船などが日本から車を積んで海外の港で車を下ろすと、船が軽くなりすぎて危険なため、水(海水)を積んで船を安定させてから日本に戻る。日本に戻ったら海水は港で排出してしまう) のなかに混入していた貝の幼生が日本に運ばれてきて増えてしまったもの。

この貝はハマグリに似ていることからけっこう活発に取引されて専業でこの貝を獲る漁師さんもいるほど。
「良く食べられている」 という意味では 外来種の中では優等生なのかもしれないんだけれど、ハマグリとの交雑とかは心配ないのかな?





ブラックバス・ブルーギル
ブラックバスとブルーギルのアクアパッツア。 湖沼の2大お困り魚類のツーショット。ピンボケで失礼!

ブラックバスは1925年に神奈川県の芦ノ湖に移入されたものが、「引きが強くて面白い」とつりファンの間で「ゲームフィッシュ」として人気になって全国の湖沼に密放流されたものが、その湖沼の生態系のかく乱を引き起こしてしまっている。

ブルーギルの場合はちょっと事情があって、1960年代に今の天皇陛下が皇太子だった頃にアメリカ訪問でシカゴ市長から贈られた魚なんだ。
食料としての期待が高く、日本に持ち帰られ、水産庁の研究所で養殖の研究などがされた後に放流されたのが日本にブルーギルが移入された最初だったらしい。

天皇陛下は大津市の琵琶湖で開かれた 「第27回全国豊かな海づくり大会」 の式典あいさつで、自分が皇太子時代に米国から持ち帰った外来魚のブルーギルが琵琶湖の生態系を脅かしていることに触れ、「心を痛めています」 と述べられたらしい・・・。
※参考: 豊かなうみづくり大会 お言葉

当時は食料不足打開の目的もあって、様々な動物が日本に持ち込まれた時代だったんだ。

今、全国各地で元の生態系を取り戻そうとブラックバスとブルーギルを初め外来種の駆除が行われているんだ。

ブラックバスもブルーギルも流れの少ない水域に棲む魚の為、どうしても 「ドロ臭い」 イメージがついて回る。しばらく清水で飼ってドロ吐きをさせれば良いのだけれど、「特定外来種」指定を受けているので生きたままの蓄養などはできないんだ。

ちなみに特定外来種法に違反して、生きたままこれらを移動したり、他の場所に放流、蓄養した場合の罰金が
個人で、最大 300万円、懲役1年以下  法人だと最大1億円にもなってしまう。 
  ※ざっとの概要なので身に覚えのある人は個別よく調べてね!

今回のブラックバスとブルーギルも宮城県の渡り鳥で有名な伊豆沼周辺で外来種駆除活動によって捕獲されたもので、捕獲して直後に殺しているのでドロ抜きなどはされていない。

ウワサ通りにドロ臭いかな? と心配したのですがそうでもなく美味しく頂きました!

ブラックバスはフライにされたものがアメリカザリガニパエリアにちらされていました。
白身魚で美味しい。まったく問題なし! 皮をむいてあった事もドロ臭さを消す一因だったかも。

「小骨が多くて食べにくい」と言われるブルーギルは 香辛料が入った衣をまぶして揚げてありました。
スープに浸してあったので、いい具合にスープが浸みて身がほぐれやすくなっていて、小骨は多かったのですがほろほろ外れて気にならなかった。

大変に美味しゅうございました!  この二種は私の中では完全に 「食用魚」 に格上げでございます!





917お困り集合写真
とらの呼びかけに30人近い皆さんが集まってくれた! ありがたいね!嬉しいね!!

たくさんの皆さんが集まってくださいました。
とら一人が「ザリガニ食べたい! ブラックバス食べたい!」といっても実現しなかったこの「お困り動物食事会」。

これだけ多くの皆さんが関心あって参加する意志を見せてくれたから、シェフも忙しい時間を割いて「なら、ちょっと頑張って料理研究してみようかな!」と引き受けてくれたのだと思うんだよね。

ちょっと変わった食材だけどプロの手による美味しい料理とワイン、雰囲気ある会場・・・ 良い食事会を行う事ができました!


 皆さん、ありがとう! ありがとう! 大成功だ! みんなで一緒にお困り動物食を盛り上げていこう! やるぞぉ~ オウオウ! 


・・・で、終ってしまっては企画の報告としてはあまり面白くないんだよね。

今回の食事会、普段馴染みのない食材を使ったことからシェフの皆さんにも手間をとらせたし捕獲に協力してくれた方にも感謝しているんだけれど、
やっぱり 「初めて開催」 ということで 反省点も多々あったんだ。

次回はその反省点を、次回への期待を込めて報告してみたいと思うんだ。 

狩猟についても同じ。 
最近、「これってどうなの?」という事柄に遭遇したとらでございます。こちらもおいおい皆さまに報告して 「ちょっと特殊な狩猟業界」が良い方向に動く事を期待したいと思うんだな。

良い事ばかりブログにアップするより改善が必要な事や「これってどうなの?」的な事柄の報告のほうが皆さんのお役に立つと思うんだよね。
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