秋田県クマ殺傷事件の報告会に参加してきました

2016-09-21
今年の5月に発生したツキノワグマによる連続殺傷事件。

これまでも出会いがしらにクマに襲われた、とか遭難死したご遺体にクマが齧ったような痕跡がある、といった事例はあったようなのですが、積極的に人間を襲った、しかも同じ時期に6名のも方が亡くなった、というこれまでにない事件だったので とらも関心を寄せていたんだな。

現地調査を行った日本のクマ研究者の集まり JBN (日本クマネットワーク)の報告会があると知ったので出かけてきました。

狩猟や登山で山に入る事の多いとらにとってもこの事件の行く末にはとても関心があったんだ。


当日はこのような内容



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『秋田県鹿角市におけるツキノワグマ人身事故調査報告会』のご案内

趣旨:
鹿角市で連続して発生したツキノワグマによる死亡事故は再びあってはならない。JBNでは再発防止のために現地調査と聞き取りを行った。現地調査では十分なデータを得ることはできなかったが、結果に基づいて再発を防止するための提言を検討した。これを広く発信するため、公開で報告会を行う。

日時:2016年9月17日(土) 13:00〜15:30
場所:東京農業大学世田谷キャンパス1号館6階の632教室
事前申し込み不要・参加無料
主催:日本クマネットワーク

プログラム
1. 「ツキノワグマの生態からみた人身事故の発生要因」 
   小池伸介(東京農工大学)
 ツキノワグマの食性など今回の事故と関係する生態について

2. 「クマ類による人身事故の概要と対応事例」 
   釣賀一二三(地方独法 北海道立総合研究機構 環境科学研究センター)
 クマ類による人身事故の実態と北海道での対応事例
      
3. 「鹿角市でのツキノワグマ人身事故に学ぶ」  
   山崎晃司(東京農業大学森林総合科学科)  
 鹿角市死亡事故調査報告と提言

4. 質疑                           日本クマネットワーク(JBN) ttp://www.japanbear.org/cms/  』





遭遇時間と季節
ヒトの活動とクマの活動の東北地方と全国でわけた図をつかって概要説明

まずはヒトとクマの遭遇しやすい時期や山に入る理由などクマとヒトとの関係を季節、活動の活発な時間帯別に説明してくれました。
春の山菜時期のほうが秋の冬眠前の喰い込み時期のクマより遭遇の危険性が高い事が良くわかる説明でした。

春の山菜はクマもヒトも探す対象が一緒。 

また、クマの攻撃のパターンの状況による説明、
1.小熊を守る防御的攻撃
2.若グマのヒトへの興味本位の接近から始まる攻撃
3.ヒトを餌と認識した個体による捕食のための積極的攻撃

今回の秋田の事件は3.の捕食のための積極的な攻撃 だったところがこれまでのクマ事件と大きく異なるのですね。
ですが、これまで捕食目的で襲われた事件が皆無だったかと言うとそうでもないみたいです。
 
ある年にヒトがクマに襲われる事件があった。 調べてみるとその前年に山に入ったまま行方が判らなくなっている人がいる・・・といった場合に、前年に行方不明になった方はクマに襲われた可能性がある、そのクマがまたヒトを襲った、というコトも考えられるとの事。

クマは学習能力が高いうえに寿命も長い。

いったんヒトを餌と認識してしまったクマはいつまたヒトを襲うか不安はぬぐえないそうです。

一度ヒトを襲ったクマを同定するためにも、加害クマの毛やフンの現場での採取は大変重要な事だとのこと。

DNAが解析されていれば、その後有害捕獲などでそのクマが捕獲されればそれ以上の加害の可能性はなくなることがはっきりする。








被害事例報告
ヒトとクマとの接触可能性の概要説明のあとは今回の事件の具体的な傷害、死亡時例の報告

個別具体例の報告を聞くのも気が重くなって「なんでこんな事が。」と思ってしまうのですが、報告する側も取材の際の遺族や地域の様子を思い出してつらかっただろうな。

殺傷事件報道から想像すると、この時期のネマガリタケの竹の子欲しさに欲に目のくらんだ亡者がクマの危険も顧みず山の中に入っていってクマに襲われたような印象を受けたのだけれど、実際にクマに襲われたのはそんな山の奥深くじゃなかったみたいだ。
よく考えれば竹ってけっこう見晴らし、風通しの良い場所にはえるよね。

もともとこの地域ではこの時期のネマガリタケの竹の子を採集する習慣もあったし、現金収入の少ない山あいの集落の大切な現金収入の一つだったようだ。
お年寄りにとっては大事な収入源だったことが想像できる。








被害発生エリア
クマの襲撃があったのは山の中ではない! 畑のヘリとか牧草地跡・・・

このグーグルアースの地図を見て驚いた!

黄色い点は事件のあった場所を示しているのだけれど、緑色に覆われた森林の中ではないんだな。畑や牧草地の跡地の防風林のような狭い林のヘリなどで襲われているんだ。
すぐ右側を走る国道はけっこう交通量の多い道路とのこと。  こんな場所でクマに襲われるとは想像もできなかったかも。
クマがでたらすぐに車に戻ればいい、と考えてた人もいたかも知れない。


「深い山の中でない場所でヒトがクマに襲われた。」
このことは今の日本の「少子高齢化、人口減少時代」の特有の事態なのかもしれません。

これまでの時代、人の勢いが強くてどんどん、山を切り拓いて集落を作っていった時代には獣たちは人里に姿を現すと放し飼いの犬に追われたり、鉄砲で狙われたりしたから、警戒心が強く人里に姿を現すことは稀だった。

しかし、人口減少化の今。
 山あいの集落からはどんどんヒトの姿が消えて残っている住民もお年寄りが増えて住民の半数以上が65歳以上の「限界集落」が増えてきた。

空き家や耕作されない畑が増えて、獣たちが身を隠しながら集落に近寄れる藪が増えた。鉄砲を持った狩猟者も減ったし、放し飼いのうるさい犬もいなくなった。

イノシシやシカ、サルの農業被害が増えている事はニュースになって周知の事実になっていますが、クマだって増えているのかもしれない。

実際、クマの棲息地域は拡大していて、西日本では中国地方と近畿地方の個体群がこれまで生息地がはっきり分かれていたのが最近の調査ではお互いの生息地がくっついてしまった。
このことはクマにとって往来がしやすくなって、餌をとる範囲が拡がる事と、血の交流が盛んになってより棲息しやすくなった事を示していると考えるんだ。

近畿と中国地方の両方に接する兵庫県が今年からクマ猟を解禁する、というニュースが流れましたが背景にはクマの生息地の拡大があるのだろう。


2013耕作放棄
いまや全国どこでも見られる耕作放棄された畑。 イノシシやシカだけじゃない、クマに潜む藪を提供してしまっている

何度も使っている写真だけれど、日本全国の山あいの村では限界集落化が進んで放置された畑が溢れている!
このような場所にクマに潜まれてしまっては見つけるのは困難だし、襲撃の危険も高まる。

事実、クマの棲息が近いとある別荘地では夜な夜なクマパトロールが行われていて、とらもそのパトロールに同行した事があるんだ。
車に同乗しているクマ探知の犬がクマの気配を察知して吠えたのは別荘と目と鼻の先にある空き地。

昼間は別荘の犬が散歩してウンチでもしていそうな空き地に向かって犬が吠えるんだ。

目を凝らしてクマを探しても見つけられない。 むこうはすでにこちらを察知してじっとしているのだろう。
風が吹くとほのかにクマ独特の甘ったるい発酵したような臭いが漂ってきた。


このような事態が全国の山あいの集落で起き始めているのだろう。 常にクマの存在を気にしながら山に入ったり、農作業をしなくてはいけない時代がすぐそこに来ているのかもしれない、と思わされた報告会だったんだな。

どうすればいい??

適度な捕獲を継続して狩猟圧をかけ続けて今のヒトとの力関係を維持する、

もしくは山あいの集落から人類はヒトの痕跡を一切なくして、特に柿やクリ、キウイフルーツのような放っておいても実を付ける果樹をすべて切り払ってからの一斉撤退。

電気柵に囲まれた要塞都市のようなコンパクトシティーを作ってその中で暮らす。 その他の山間の土地は動物たちに明け渡してオオカミを放してすべて自然の推移に任せる、
っというのも一手段かもしれない。                   さあ、どうする、日本人諸君! 



※お知らせ

10月29日開催の「お困り動物食事会1029」は申込者が定員を超えましたので受付けを終了しました。たくさんのご応募ありがとうございました!
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コメント:
メッセージありがとうございます。
今回のクマの食害事件は今の日本の里山の状況を表しているようで今後の推移が気にかかります。
私は丹沢でもクマに遭遇しています。 以前は足跡を見るのがせいぜいだったのですが…。

食虫植物ですか! レアなお話ができそうですね!笑 都内で行う食事イベントなどにもぜひ応募してください。

[2016/09/22 19:55] | 腹ペコとらさん #- | [edit]












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