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新規就農者は貧困予備軍?

2014-01-23
新規就農して新しい土地で頑張っていた元同僚がひっそりと仕事を変えたようだ。


新しい土地で一人で土に向き合って頑張っていたのだが続かなかったらしい…。

…不安定な収入の中でも希望を持って頑張っていたのだが、やっぱり最小限の収入も確保できない状況だと続かないよね…。


とらのブログにも「いつかは田舎暮らし」と考えて訪問してくださる読者の方もいらっしゃるようでございます。

この機会に「農業で喰っていくのって結構、大変だよね。」という事を確認しつつ第二の人生や、田舎で自立して生きる手段として注目されつつある農業で、ホントに実際、はたして暮らして行くことができるのかを考えてみたのでございます。

その土地に縁もゆかりもない人間が「新規就農」で飛び込んだ場合にどんなリスクがあるのか考えてみたのでございます。

もちろん、人それぞれの個性や人との繋がり、それまでの人生経験などもありますので一概に「こうだ」とは言えませんが
大概「こんな壁があるだろう」という事をとらのつたない経験を交えて、

新規就農を希望する皆さんが理想とする有機農業、自然農を始めた場合にこんなリスクがある、という事を綴ってみたいのでございます。

●初期投資はデカいクセにお金の回収に時間がかかる
トラクターは「一馬力、一万円」と言われているのでございます。
ちょっとした乗用トラクターなら数百万円するモノがごろごろ…。乗用車に例えるとベンツやBMWが土にまみれて畑の中にゴロゴロしているようなものでございます。

それも用途に合わせて一年に数日、ほんの一時期しか使わないモノだって揃えなくてはなりません。
…使いたい時期は近隣の皆さんとだいたい一緒だから近所の皆さんと共同購入して使いまわす、という事も難しいのでございます。

…最近では燃料代の高騰もありますからガソリン代もバカになりません。
さらに草刈り機やなんやらで農業を始めるとエンジンモノが倉庫に山積みになるのでございます。

さらにさらに、農業経営を安定させるには雨風、温度調節ができるビニルハウスがある意味必須、でございます。

…ハウスがないとホントに「お天気まかせ」の農業になっちゃう。
ハウスを建てるとなるとまたお金がかかりますし台風などでビニルが破れたり骨組みが壊されると修繕費などお金がこれまたかかるのでございます。

これまた数百万円でございますな。

それだけ巨額の投資をしておきながら植物が育つスピードはゆっくり。年に一作とか2作とかしか収獲できません。
ハウスで収穫までの期間が短い葉物など作ってもやっぱり数カ月かかるもんね。

お金の姿になるのに時間がかかるのが農業でございますな。



●農業研修って役に立っているのか?
農家さんの仕事を手伝う「農業研修制度」が結構普及しています。

2年程度の研修を経て晴れて農業者として認められて農地を斡旋してもらう… という制度です。
でも、この農業研修制度、プログラムがちゃんとしていて、決められた期間を頑張れば農業技術が身につくかというと、
どうやらそうでもない。

「出荷の手伝いやなんやらの雑用をしていて一年が経っちゃった!」ということもままあるようでございます。

農家さん自身、自らの営農で忙しいのに、さらに研修プログラムを整えよう、という所は少ないんじゃないかな?

中には何人もの研修生を抱えて農業を行っている農家さんもいるのですがこの場合は研修生を受け入れると農家さんにお金が落ちる制度を利用している場合もあるのでございます。
お金もらえて、さらに格安の労働力が手に入る…くらいの気持ちの方もいるかも知れませんぞ。 要注意。

実際、研修生を受け入れる事で得られるお金と研修生の格安の労働力がなくては立ち行かない農業経営をしている農家さんというのも存在しているわけでございます。

本当に就農者の為になっている研修制度が整っているのか見極めてから参加しないと「時間とチャンスを搾取されるだけ」になりかねないのでございます。


●良い農地は借りれない
他所からやって来た新規就農者にはその土地のベテランが使わないような条件が悪い土地があてがわれる事が多いわけでございます。
日当たりが良くない、水が引けない、水が引かない、山あいでイノシカの食害が激しい、飛び地で畑を回るだけでガソリン代がかかる…。などなど。

まあ、畑を貸す側だってやってきた人がどんな人なのか、ホントにやる気があるのか判らない段階では条件の良い土地を貸そうと思わなくて当然かも知れません。


あと、信じられない事ですが畑を借りる「契約書」を交わすことを嫌がる地主もいるそうでございます。

やってきた人がとんでもない人だった場合の予防線だったりするのかも知れませんが、何年もかけて土を作ってきた挙句に
「息子が畑を使いたがっている。」など大した理由もなく取り上げられてしまうことも良くある事の様。

…そのクセその息子はそれほど熱心に畑をやりたいわけでもなくて、せっかく土作りをした畑が草ぼうぼうの原野に戻る姿を日々目にするハメになったり…

そんな事例をとらも見てきたのでございます。

…契約書がないから抗議もできず泣き寝入りするわけでございますが、契約書があったところで地主に逆らうと他の畑も返せ、だの有形無形の嫌がらせも受け兼ねない…。

よそ者はどうしても立場が弱いのでございますな。


●敵が多すぎる
昔からの農業の敵といえば病虫害でございます。
最近では地球温暖化の影響で寒暖の差のブレ幅が大きくなったり、「白菜の種は8月20日までに種を蒔けばいい。」という昔からのセオリーが効かなくなってきているのでちゃんとした作物を作ることが難しくなってきているのでございます。

スーパーのバイヤーさんも味方というよりどっちかというと「敵」かな。
「消費者が求めている」という理由で規格が揃った虫食いのない見た目のきれいな野菜を要求してくるわけですが消費者よりも売る側の都合で厳しい規格を求めているんだよね。
「段ボール箱にきっちり25束収まって伸びすぎて折れたりしていない。」とかね。

さらにTPPに打ち勝つ為に海外との価格競争を強いられるなど競争相手もワールドワイド!
効率の良い農業を目指したら「有機」とか「自然農」とか言ってられませんな。工業団地の様に区画がピシッと整った広大な農地でバリバリ耕さなくてはなりません。

さらにさらに、最近では耕作放棄地を餌場に勢いを増しているイノシシ、シカなどの野生動物からの干渉も無視できないレベルでございます。


●師匠が最大のライバル?
敵は外だけにいるのではございません。

あなたが農業研修を受けた農業の師匠、農産物直売所などでは最大のライバルでございます。
大概、お師匠さまは子育ても終わって悠々自適の世代。
孫に小遣いをあげられるだけの収入になれば良いと考えているので作物の値付けがスゴい!

生活費を稼がなくてはならないあなたとは値段の付け方が違ったりするわけでございます。

消費者の皆さまはどうしても安い方に目がいくものでございます。

その安い作物の方があなたのものよりずっと立派な場合もあるわけでございます。…何てったってあなたに農業を教えた師匠の作品なわけでございますので。

困ったものでございます。



●売り先は自分で探す
最近では行政が就農支援をしてくれたりするわけでございます。
農業研修制度や農地の斡旋等至れり尽くせり…。 だけど肝心の「売り先」は紹介してくれたりしないんだな。

都会の生活を捨てて農業世界に飛び込んで、少なくない初期投資をして作物がやっとできたのに、売り先は自分で探さなくてはならないのでございます。この人口減少化と景気停滞時代にそうやすやすと売り先なんて探せるわけございません!

新規就農者受け入れと言えば聞こえはいいけど都合よく都会モンを呼び込んでおいてあとは「自己責任ってことで。」ではまるでブラック企業並じゃん! 

行政のなかにはその土地に来て頭数を増やしてくれればそれでいい、と考えている所もないわけではないのでございます。


…ざっと思いつくだけでもこれだけの障害があるわけでございます。

それらを乗り越えてさらに収入を得ていくってホントにたいへん。

大概の人は働けど働けど収入に結びつかない「貧困層」に収まってしまいそうです。

でも、実際に農業で食べている人もいるじゃん! とらはネガティブ過ぎ! というご意見もあるかもしれません。

しかし、たいていの農家さんは代々営農されていた農家さん。
彼らは上に挙げた障壁の大概を親父さんの代から引き継ぐことでクリアしているのでございますな。

土地もあるし地域とのつながりの中で売り先もある。
師匠である親父さんは長年の経験を備えた良きアドバイザー、さらに忙しいときに的確なお手伝いができる、スーパーパートさんでもあるのでございます。




それでも都会を離れて農で暮らすんだ!という意思の強い皆さまには「せめてこうしたほうがいいかも。」というとらからの
読者サービスでございます。


〇とりあえず農業の勉強をしておく
社会人でも参加できる就農塾や家庭菜園などでとりあえず片手間農的生活を始めてみる。
さらに青空市などで作った野菜を売ってみる。

新規就農者支援の仕事を立ち上げようとしている仲間がおりますが声高に主張しているのが「土壌分析をしてカンや経験に頼らない農業をしよう」でございます。

農の世界に飛び込む前に土壌分析して施肥の割合を考えるような、農を理で考える習慣ができていれば良いかも。


〇田舎でも探せる職種の技能を身に着けておく。
介護の仕事は地方でも多い様でございます。
あと、狩猟の技術もとらとしましてはオススメでございます。
環境省が「今後10年で鹿の頭数を半分にする!」と息巻いておりますので有害駆除の仕事などがでてくるかもしれません。
狩猟ができれば畑も守れるし、お肉を買わずに済みますからこれはお奨めです。

〇田舎暮らしは若いうちではなく第2の人生、リタイヤ後にとっておく。
サラリーマン経験もあったほうが良いと思うのでございます。自営業の方の中には礼儀ってやつを知らない方もいますもんね。礼儀をわきまえることができる雇われのみの方が社会人としては立派でございます。あと、賃貸には住まずにド中古物件でも「マイ家」を持って家賃分を返済に置き換えて「来たるべき日」に備える事も大事でございますな。


面白くない事を書き連ねてしまいましたが農で喰っていくことはなかなか大変、職業として考えるとなかなか成り立ちにくい職種かと思うのでございます。

ふむ、



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