富士山 近況

2013-08-03
8月に入って夏休みも佳境。

世界文化遺産の富士山は毎日、多くの人でごった返しております。

ニュースでも「過去最多!」「五割増!」などと威勢の良い単語が並んでございます。

う~ん、こんなに威勢の良い単語がポンポン並ぶ新聞記事にはこの20年ほど出会ってございませんでした。

思わずバブル期を思い出してしまったのはとらだけでございましょうか…。
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吉田口登山道の入口。 レストハウスがあるにぎやかな五合目から歩き始めて本格的な登山道への入り口です。

帰り道の確認や装備の最終確認などを行ってから出発!
何かと課題にのぼるグループ登山はこんな様子でスタートしています。

登山初心者も含めた40人ほどの人数を富士登山ガイドとそのサポート者の2名で引率します。
とらも40人に対して2人では少なすぎるだろう、と考えていました。

確かに富士山以外の山、例えば八ヶ岳や北アルプスなどではこのような登山スタイルは危険かもしれません。

しかし、何度かこのスタイルで登っていると夏の富士山だからこそこのスタイルの山登りができるんだ、と思うようになってきました。



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夕焼け。 残念ながら山梨県側からは日没を見る事が出来ないんでございます。

山の経験も年齢もバラバラの皆さんと歩くので登山のペースはとてもゆっくりです。

山小屋に辿り着く途中で日が暮れてしまう事もあります。


「えっ!山歩きは日没前の4時には終了するのが山の掟でしょ!」と思う方、その通りでございます。

ただ、富士山はご来光登山をする山で、それができちゃう山。

「弾丸登山」など休憩もしないで一気に頂上を目指す登山スタイルは良くはありませんが登山道もしっかりしていて、うっそうとした木々もないので夜でも道迷いする事は少なく、夜通し登れる山ではあるのです。
…下山に関しては別です。

ある意味、「24時間営業…開いてて良かった!」のお山であることはあるのでございますな…。

ただ、夜も登れるとは言っても暗くなると疲れている方は特に精神的に不安定になってきますのでやはり陽のあるうちに山小屋に着くのがベストである事には違いありません。



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標高にもよりますが真夜中に山小屋を出て数時間かけて山頂へ。

8合目あたりからでもきれいなご来光を見る事ができますが「途中」で見るご来光と「山頂」で見るご来光では重さが違いますな。
とらのように何度も登ってスレてくると
「いいじゃん、ゆっくり起きて山小屋でコーヒーでも飲みながらご来光見てからゆっくり登ったほうがラクだよ…。」などと思ってしまいますが
参加者の中には登山もしたことがないのに、「富士山の山頂から日の出を拝みたい!一生で初めてで最後になるかもしれない…。」という一念だけで思い切って参加を決めた方もいらっしゃるはずでございますので、
やっぱり日の出前に山頂に行くことが大切なのでございますな。

真夜中に登山をすることは、やはり慣れない皆さんにとっては苦行以外の何物でもありません。

途中、9合目付近まで来たのに「もう、ダメ。ここまででいいです…。」とヘタリこむ方もやっぱりいるのでございます。

そりゃ、そうでございます。慣れない山歩きをして、足が張っている状態で慣れない山小屋で寝て、ロクに休めていないのに夜中に起こされて真っ暗な中を歩かさせられる…。

気温は低いし、高度を上げるにつれて風も強くなってくるわ、ヘタしたら雨も降っているわ… リタイヤしたくなって当然でございます。
でも、それだけの慣れない苦労をしてここまで来てくれたからこそ あとひとがんばりしていただきたいのでございますな。 

何とかその方を頂上まで引っ張りあげたい、と思うのでございます。

そのためにとらは なだめたり、励ましたり、時にはオドしたり…。様々な手段を講じるのでございます。

今、特に力を入れているのが富に増えてきた外国の方向けの様々な言語の習得。

外国人の皆さんがへばった時の対応として、その方の母国語で励ませる様、様々な国の語学の習得にも精進してございます。

と、書くと とてもすごい事のようでございますが習得する言語は多数でも言葉は一つだけ。

「ダイジョウブ!」だけでございます。

「大丈夫?…、大丈夫!行けますよ!」といきなり母国語で話しかけられるとパッと顔に元気が戻り動き出してくれるのです。

この各国の言葉の「ダイジョウブ」を覚えたのはとらが一人で海外旅行をしていた時の事。

国境を越える時にパスポートを渡してその国の言葉で「大丈夫!問題ない!」と言うと 気難しい顔をした係官が「何言ってんだ、この日本人の若造は…。」と笑いながら入国スタンプを押してくれたものでございます。

ラテンやアジアの国で有効でございました。 9.11後のアメリカとかでは通用しないんだろうな。


先日の星空のきれいな夜の時には、中国人の方がへばっている時に丁度人工衛星を見ることができました。

「頑張りましょう!あっ!あの人工衛星、『メイドインチャイナ』って書いてありますよ!」と笑いをとって
元気を出してもらう事ができました。

時にはナショナリズムを煽る事も有効でございますな。





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寒さに震えながら日の出を待ってようやく空が白んできました! もう少しで日の出でございます。

日の出そのものよりその前の 白み始めた景色の方がきれいな時もあります。

この朝の 日の出前の景色も素晴らしいものでした。


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ご来光です! お兄さんの髪の毛も朝日に輝いてございますな!



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日の出が迫っているのに大きな雲が邪魔して見えない時も…。

「この雲、さっさとどいてくれんかな…。(ーー;) 」と誰もが思っているはず。


この雲は日の出までそこに居座って日の出の瞬間は見る事は出来なかったのですが
少し日が昇ってきたところでどいてくれました。

少し強くなった陽がいきなり山頂に差し込んできて、それはそれなりに良いご来光でございました。


こんな感じでたくさんの方々と富士山山頂でご来光を見ておりますが、感じるのは富士山の特殊性。

富士山は山というより「修業」の場所という感覚に近いのではないでしょうか。

…今年からは「観光地」の色彩も強くなりましたが、それはそれで良い事なのかも。
先日引率したイタリアから来た母娘は「私が子どもの頃、富士山の映像を見てずっと富士山に来たかった。世界遺産登録が日本行きを後押ししてくれたわ。」と言ってくれてましたからそれでいいのだ、と思うのでございます。


自分に苦行を課して身を引きしめる場だからこそ登山の経験がない方でも一度は登ってみたい、と思うのでございましょうか。

真夜中に朦朧としながらも山頂まで登りきると頂上では素晴らしいご来光を拝め、
そそくさと下山して周辺にたくさんある温泉に飛び込んで汗を流してさっぱりして美味しいものを食べてビールで乾杯!

お土産物屋さんで土産を買って帰路につく…ちょうどお伊勢参りとそのあとの「精進おとし」と似た者同士でございますな。

一年に一度くらいは不便を感じる修行生活も良い事かもしれません。



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